ビジネス : テレビ討論会が始まった!

テレビ討論会が始まった!

テレビ討論会が始まった!
討論会は各候補の家族も見守る中、たくさんの聴衆の前で繰り広げられる。司会者が「あなたはクリントン氏が大統領の“見た目”でないと言いましたが、どういうことですか」とトランプ氏に聞いた。「私は、クリントン氏の見た目もそうだが、大統領として活動するには“スタミナ”が足りないと思う」と言い、クリントン氏がかねてから騒がれていた健康問題を挙げた。クリントン氏はすかさず、「国務長官として112カ国も回ってきた。同じ経験をしてから言ってほしい」と返した。

また司会者から「あなたはかつて、オバマ大統領の出自について疑問視するも、それを撤回されました。それはなぜですか」と聞かれたトランプ氏は「早く別の話題に移りたかったから」と答えた。

そこで、クリントン氏は「黒人初の大統領だったので、人種差別をしたんでしょう。あなたは、女性に対しても豚や能無し、雌犬などというでしょう? あなたがやっている美女コンテスト出身者に対しても、『ミス・ピギー(豚のマペットキャラクター)、ヒスパニック(の女性が従事することが多い)だというだけで、ミス・ハウス・キーピング(家政婦)』と呼んだのよ。失礼だわ。でも、知ってる!? 彼女、市民権を手に入れたから、この大統領選挙に投票すると言っていたわ」と畳み掛けた。

ヒラリー氏が話している途中で「ウロング(間違い)」「どこで見たんだ」と何度かちゃちゃを入れたトランプ氏だったが、ヒラリー氏から「ヒラリークリントンドットコムのHPに証拠ビデオがUPされているから確認したら」と軽くあしらわれただけだった。

トランプ氏は、彼女が遊説を休んでいたことで、この討論会に備えていたんだろうと揶揄したが、「ええ、この討論会に備えていたわ。そしてほかにもしていたことがあるの。私は大統領になるための準備をしていたのよ」とヒラリー氏は言い切った。そして最後に「この選挙は、彼と私の問題ではなく、あなたとあなたの家族、そしてこの国の未来に関わる。将来を任せることができる候補に投票してくれることを望んでいる」と締めくくった。

トランプ氏もいつも通り「米国を再び偉大にしたい。私にはそれが可能だ」と大口をたたきながらも「ただ、彼女が大統領になれば、支援するよ」と言った。

討論会の後に行われる記者との囲み取材は、それぞれの広報担当が行うのが常だ。しかし、異例にもトランプ氏は出て来て言った。「今日は娘のチェルシーさんがいたから、言いたいことが言えなかったけど、次回は……」とまるで、過去にあった“不適切な関係”の話題を持ち出そうとしているかのようであった。

第1回目の討論会は無事に終了した。私には、ヒラリー氏の圧勝に思えた。そして翌日以降出された世論調査のほとんどが、ヒラリー氏に軍配を挙げた。

さて、私たちのように本部からバスで乗り込んできたボランティアたちは、それぞれ、討論会会場前の広場に作りこまれたテレビ局の特設スタジオの前に陣取り、本番前の生放送中にヒラリー応援団としての画面に映りこむのが仕事であった。ある者は、畳1枚分もある「Stronger Together」と書かれたサインを2人で抱えたり、ほとんどの者は、A3ほどの大きさの紙に書かれた「Stronger Together」「Clinton Kaine」などのサインを掲げて盛り上げていた。

江木園貴(えぎ そのき)
国際イメージコンサルタント。大分県出身。米国大学留学後、米国テレビ製作会社日本支局入社、TV制作プロデューサー、MC&アナウンサーを経験。その後、衛星放送会社、音楽配信会社などの広報・PR/IRを経て、イメージコンサルティング会社、(株)プレゼランスを設立。アメリカの大学に留学時、偶然見たビル・クリントン氏の大統領選挙の演説の様子に感動し、大統領選挙並びに印象を良くすることに関して研究をはじめ、ロンドンやNYにてカラー、ファッションやヘアメイク、メディアコミュニケーションをはじめとするイメージコンサルティング全般を修得。アメリカにて国際イメージコンサルタントの資格取得。人生を変えるきっかけとなったクリントン氏に20年を経て恩返しするべく、1年間日本での仕事を休み、選挙ボランティアとして活動中。NY在住。