ビジネス : 第2回討論会はヒラリーの圧勝に

第2回討論会はヒラリーの圧勝に

第2回討論会はヒラリーの圧勝に
第2回目の討論会は、ミズーリ州セントルイスのワシントン大学で行われた。第2回目は、前回と違い、会場にいる観客やインターネットサイトを通じて送られた質問に答えていく対話形式となる。どんな質問が飛び出すのか。時に予想外の質問に戸惑い、答えを窮すれば、その対応のまずさに支持を失うこともある。しかし、例えば、それが難問であったとして、うまく答えられれば視聴者や観客からの信頼度が上がり、結果、本選にも有利につながるとされている。

今回の司会は、ABCのマーサ・ラダッツ氏とCNNのアンダーソン・クーパー氏が担当だ。質問は司会者ですら当日知らされ、候補者たちには、もちろんその場で初めて知らされる決まりとなっている。開催時間になり、いつものように候補者2人が呼び込まれた。濃紺のスーツに白いシャツ、赤のシンプルなネクタイをしたトランプ氏に対し、同じく濃紺に白い襟、襟と同じ素材でできた白のインナーブラウスのパンツスーツで現れたクリントン氏だが、最初の儀式である両者恒例の握手を交わさず、あまりいいムードと言えないまま始まった。

トランプ氏は、2日前の7日金曜日に2005年に収録された卑猥で下劣な会話を繰り広げていた音声テープが明るみとなり、かなりのイメージダウンは免れない感じであった。ある共和党上院議員は、トランプ氏の演説会に出席する予定を公式にキャンセルしたと発表した。元大統領ブッシュ氏のローラ夫人ほか、多くの共和党員の女性たちもトランプ不支持を次々と発表した。

私は、11年も前の公に演説したわけでもない、トランプ氏いわく「更衣室でするような会話」が取りざたされ、非難を浴びることに対しては、若干気の毒な感じもした。が、やはり、その内容は大統領としての“品格”に欠けるどころか人間的にもどうかと耳を疑うものであった。これが、大統領候補の会話でなければ、多くの女性を怒らせ、周りの人をどれほど失望させたとしても、ここまでの問題にはならないだろう。

実際この日乗ったタクシー運転手A(40代、白人男性、トランプ支持者)さんは、「まあ、男ならこんな風な下世話な話を1度くらいはする」という。彼は、こんなことでトランプ支持はやめないと言い切った。が、同じく共和党支持者で商店店員(50代、白人女性)の女性は、「いままで共和党支持だったけど、今回のこのバカげた発言で、やっと目が覚めたわ。ビジネスマンだから商売が上手くいくようにしてくれると期待していたけど、こんな卑劣でバカな男がこの国の大統領になることは神様が許さないと思うし、私は絶対にトランプが大統領になるべきでないと確信したわ」と語った。

さて、私はヒラリー陣営が運営する公式の討論会ウォッチングパーティに出席していた。マンハッタンはミッドタウンにある老舗のスポーツバーの奥全体を貸切にして行われた。開催時間が近づくとともに人が集まってきて、討論会開始時刻には身動きが取れないほどの人で会場は埋め尽くされた。とりわけ大きなモニターが中央の前後、左右に1台ずつと2〜3メートルおきに50インチほどのモニターが所狭しと並んでいた。開始直前に数名が挨拶し、いざ本番が始まると一瞬の静けさと失笑、歓声が繰り返された。

大統領になったらどのような国にしていきたいかという冒頭の質問に、両者ともに「互いに尊敬しあう、立派な国にしたい」と真面目に語った。そして、クーパー氏がトランプ氏の女性への蔑視発言に対して質問した時、会場は大いに沸いた。トランプ氏は「ロッカールームの会話で、私自身、誇りに思ってないが、私ほど女性を尊敬している人もいない」とし、会場の失笑をさらった。さらに、「もっと大切なことがある。私はISを倒すのだ」と言った。ISの話にすり替えたので、会場からは「関係ない。質問の趣旨と違う」というヤジが飛んだ。

またトランプ氏は、討論会の直前にビル・クリントン氏にセクハラされたという女性たちと記者会見まで行っていた。そして「私は(卑猥な)話をしただけだが、ビル・クリントン氏は実際に行動した」と非難した。クリントン支持者からは、一斉にブーイングが起きた。ビル・クリントン氏の女性問題は、妻のヒラリー氏とは何ら関係ないことであり、なぜ妻である彼女がそのことについて、攻められなければならないのか。クリントン支持者だけでなく、討論会を視聴している女性全体を“敵”にまわした瞬間だったと感じた。

この後、追い詰められたトランプ氏は、再び“メール問題”に言及し、「ヒラリー候補を刑務所に入れる」とまで宣言した。会場からは再びブーイングの嵐であった。さらに、オバマ・ケア、シリア問題、環境エネルギー、最高裁長官の指名などについての討論が続いた。

最後に「お互いに尊敬するところは?」の質問に、クリントン氏は、「彼の子供たちは、献身的で素晴らしい。尊敬する」と述べ、またトランプ氏も「彼女のあきらめない姿勢は尊敬できる」と語り、冒頭スルーされた“恒例の握手”をして第2回討論会は幕を閉じた。観ていた私たちも、クリントン氏の勝利を確証していたものの、油断せず、最後までサポートすることを誓い、お開きとなった。

CNNの発表によると視聴者の57%がクリントン氏、34%がトランプ氏に軍配をあげた。しかしながら、トランプ氏が期待以上によかったと回答した人が63%でクリントン氏の39%をはるかに上回った。共和党内に不協和音を轟かせているトランプ氏だが、数字的には、いまだ、彼の大統領選出を願う人がいることに驚かされている。

今回はマンハッタンのスポーツバーでウォッチングパーティ

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江木園貴(えぎ そのき)
国際イメージコンサルタント。大分県出身。米国大学留学後、米国テレビ製作会社日本支局入社、TV制作プロデューサー、MC&アナウンサーを経験。その後、衛星放送会社、音楽配信会社などの広報・PR/IRを経て、イメージコンサルティング会社、(株)プレゼランスを設立。アメリカの大学に留学時、偶然見たビル・クリントン氏の大統領選挙の演説の様子に感動し、大統領選挙並びに印象を良くすることに関して研究をはじめ、ロンドンやNYにてカラー、ファッションやヘアメイク、メディアコミュニケーションをはじめとするイメージコンサルティング全般を修得。アメリカにて国際イメージコンサルタントの資格取得。人生を変えるきっかけとなったクリントン氏に20年を経て恩返しするべく、1年間日本での仕事を休み、選挙ボランティアとして活動中。NY在住。