さて、それから数日。ハロウィーンがやってきた。もともとは秋の収穫を祝い、悪霊などを追い出す宗教的な意味合いだったのだが、現代では、仮装パーティがその主なイベントとして定着している。ここ数年の渋谷や六本木には、海外からも多くの参加者が来るという人気行事になっているので、馴染みの人も多いだろう。
ニューヨークでは、10月31日の夜に道を封鎖して大々的にパレードが行われた。このパレードが凄いのは、事前の登録が必要なく、その日、仮装して時間通りに大体の集合場所に来ればよいとのことで、観光客でも気軽に参加できること。普段の空港などでのセキュリティ体制との違いに驚かされるが、そんなアバウトさが、世界最大級の人気になっているのかもしれない。
私たち、エグゼクティブ・ウーマン・フォー・ヒラリーの面々は、仮装と言っても、ヒラリー風パンツスーツ、または、20世紀初頭英国での女性参政権運動の映画『サフラジェット』(2017年1月日本公開予定。邦題は『未来を花束にして』)に出てくる女性たちのような装い、くるぶしまでのロングスカートに、白いブラウス、帽子と「Votes For Women(女性に参政権を)」と書かれた“たすき”を身にまとい、赤に白字で“Hillary”と書かれた4メートルほどの大きなサイン(バナー)を持って、約数キロ、2時間にわたって練り歩いた。
半分の距離を歩いたところで、少し疲れた面々が列から離れたため、そのメンバーから「Nasty Women Get Stuff Done」と書かれたプラカードを引き受け、私は後半、ずっとバナーとプラカードを持って行進した。この「Nasty(意地悪な)」という言葉は、トランプ氏が3回目の討論会でヒラリー氏に向かってはいた言葉のひとつで、翌日から「Nasty Women」と書かれたTシャツがWeb上で一斉に販売され始めたりして、ちょっとしたトレンドワードとなっている。
“Hillary”と書かれた真っ赤なバナーは遠くからでも良く目立ったらしく、多くの観客やパレード参加者からも注目された。途中、トランプ氏に扮したコメディータッチの男性が現れ、私たちとのたわいのない遣り取りがとても面白く感じられた。また韓国のテレビクルーが、私たちの活動をドキュメンタリーで撮影していたので、パレードが終わってから私も自らのボランティア活動についてインタビューを受けた。
NYと日本のパレードとの違いだが、日本のは、20〜30代の若者が多いのに対して、NYは、若者だけでなく50代以上の人々も多く参加していることや、私たちのように政治がらみなど、仮装目的だけでない参加者も多くいることだろう。とにかく10月も終わり、あと1週間で大統領選挙本選がやってくる。まだまだ気が抜けない状況を頑張って乗り切るしかないと気合を入れた。
江木園貴(えぎ そのき)
国際イメージコンサルタント。大分県出身。米国大学留学後、米国テレビ製作会社日本支局入社、TV制作プロデューサー、MC&アナウンサーを経験。その後、衛星放送会社、音楽配信会社などの広報・PR/IRを経て、イメージコンサルティング会社、(株)プレゼランスを設立。アメリカの大学に留学時、偶然見たビル・クリントン氏の大統領選挙の演説の様子に感動し、大統領選挙並びに印象を良くすることに関して研究をはじめ、ロンドンやNYにてカラー、ファッションやヘアメイク、メディアコミュニケーションをはじめとするイメージコンサルティング全般を修得。アメリカにて国際イメージコンサルタントの資格取得。人生を変えるきっかけとなったクリントン氏に20年を経て恩返しするべく、1年間日本での仕事を休み、選挙ボランティアとして活動中。NY在住。